こんにちは、弁理士・技術士の高橋です。
今回は、技術士・博士等の資格取得と、人脈形成とは、どちらが有効か、
について書いてみようと思います。
このブログを読んでいる方は「技術者・研究者であって、ご自身のスキルアップに
興味がある方」だと思いますが、
多くの方が
「スキルアップ」=「資格の取得または英語等のスキルの取得」
と考えているのではないでしょうか。
もちろん資格の取得は有効だと思いますし、私自身もこれまでに資格取得のために
多大な時間と労力を費やしてきました。
しかし、現在は、
人脈形成がとても重要だ、
というか、
人脈そのものがスキルの一部であり、人脈形成はスキルアップの1つだ
と考えています。
なお、以下は私の個人的見解です。「技術士・博士などの資格の取得と、人脈形成
とはどちらが有効か」はケースバイケースですし、ご自身が何をやりたいか等によりますから、
当然ですが、すべての人に共通する正解があるわけではありません。
1.資格取得の幻想
技術士や博士の資格を取りさえすれば、何か良いことが起きると思っている方が
非常に多いように思います。
私がこれまでにお会いした技術士や博士の方の中の非常に多くが、
「折角頑張って資格をとったのに、何も良いことがない」
というようなことをボヤいています。
「技術士資格の知名度が低いことがいけないんだ」とか、
「技術士も、弁護士のように専権業務をつくればいいんだ」
とか言っている方もいます。
なかには、驚くべきことに、国会議員に掛け合って
「技術士資格の知名度を向上させたいから何とかしてくれ」
と訴えている方もいるようです。
(そんなことするパワーがあるなら、他のことをやった方がよいのではないか、と思いますが)
私は「資格を取得しただけで、向こうから何かいいことがやってくるはずがない。」
と考えています。
これは技術士や博士だけではなく、弁護士とか弁理士とかでも同じです。
上記のように、例えば弁護士であれば訴訟を行うことができるという専権業務があり、
弁理士であれば特許庁への手続きを行うことができるという専権業務がありますので、
これによって儲けることができると思われがちですが、ひと昔前ならともかく、
現在は、専権業務に基づいて稼げるということはありません。
現在は弁護士や弁理士の資格を持っている人が増え、代理人費用はいくらにしても
よいことになったので(ひと昔前は、弁護士費用や弁理士費用(代理人費用)は
決まっていて、誰に頼んでも同じ値段だった)、
相対的に代理人費用の相場はかなり安くなっており、弁護士・弁理士の一人当たり
の仕事量が減っていることとの合わせ技で、稼げないで困っている弁護士や弁理士
はたくさんいます。
もちろん、技術士や博士の資格を取得したことで有利になる面はあります。
例えば転職に有利でしょうし、出世しやすくなるとは思います。
しかし、その程度の利点でしかないでしょう。
また、当然、技術士や博士でかなり稼いでいる人もたくさんいますが、
そのような人は、それらの資格にたよって仕事をしているわけではなく、
資格は自分の能力を示すための単なるツールの一つと考えていると思います。
また、定年後に知り合いの中小義業に招かれたり、技術顧問に就任したりする方も
いますが、そのような方は技術士や博士の資格をもっていたことが主な理由ではなく、
その人の人格も含めた全能力が買われたのだと思います。
2.人脈形成の利点
人脈形成を軽視している人が多いように思います。
特に実際に会って酒を飲むような、古典的なことを避ける人が、特に若い方に多いように思います。
しかしながら、会社外の人脈というのは極めて重要と思います。
例えば、定年になって現在の会社を退職後に再就職するときや、独立開業するときなど、
その人脈は極めて大きな力を発揮します。
また、定年になる前でしたら、酒の席での世間話から始まり、それが発展して企業間での
共同研究に発展することもあります。
私の場合ですと、飲み会の席で作った人脈から出版社を紹介してもらい、
何冊かの本を出版することができましたし、飲み会で仕事を獲得したことも相当にあります。
また、飲み会(だけではないが)の人脈で、後述する共同作業としての共同出版を
行ったりしています。
3.技術士・博士などの取得と、人脈形成とは、どちらが有効か
技術士・博士などの取得と、人脈形成とは、どちらが有効か、というと、私の個人的な
見解しては、
「資格を取得しただけの人に比べたら、人脈を持っている人の方がはるかに有効」
と思います。
もっといえば、
資格は人脈を形成するための一つの手段として利用するもの、
と考えています。
実際に会って共同で何かの作業をしたり、酒を飲んだりした友人は、生涯にわたって
様々な場面で活きる資産になると思います。
私は人脈を形成することを一つの目的として、共同作業としての共同出版を進めています。
何人かで原稿を書く作業を行って自費出版することで、人脈を形成しつつ、少々の原稿料
も得られるので、とても楽しいです。
いずれは自費出版ではなく、メジャーな出版社から商業出版をしたいと思っています。